マーケティングの天才：天才演出家であり心理学者であった田中角栄さんのお金の使い方

政治の世界には真の友情はない。あるのは打算的な取引と駆け引きだ。。。これが本当かどうかは私には分からない。

あるテレビ番組で天才政治家であった田中角栄さんの面白いエピソードの紹介があった。

元田中角栄さんの派閥にいた若い代議士が、個人的な女性問題を起こしてしまい、女性から手切れ金１００万円を要求されて困りあぐねた結果、田中角栄さんに相談しに行ったという話。

１００万円貸してくださいという代議士に対して、角栄さんは、現金３００万円とその場で直筆でしたためた書面を渡した。その書面には。。。

１、まず１００万円は女性との手切れ金として使い、その問題を解決しなさい。
２、残りの２００万円の内、１００万円は、今回の問題でご迷惑をかけた人達に、おいしいものでもごちそうしてやりなさい。
３、最後の１００万円は、今後の万が一のことに備えて取っておきなさい。
４、この３００万円は返済する必要はない。

と書いてあったのだ。若い代議士は泣いて感謝感激したという。この些細な書面の威力の凄さといったら、人の心を見事に捉える、なんと優れた物語であることか。。。優れた物語は人の心を捉えてやまない。ちょっとした工夫であるが見事な感動の演出である。

最も優れたマーケティングメッセージは「物語」「逸話」「伝説」として事実を上手く伝えることである。

このエピソードには、田中角栄さんの卓越したお金の使い方の方法論と人間関係の作り方と強化の仕方の考え方が象徴的に現れていると思った。

周りの人を虜にしてしまう、ファンに変えてしまう田中角栄さんの人心掌握力が抜群に優れているのは有名なことだが、きっと田中角栄さんの神髄は、生まれながらの「天才演出家」であり「天才心理学者」であった所に起源があるのだろう。まさに生まれながらの天才マーケッターと言えるだろう。マーケティングは突き詰めれば、顧客の心理を巡る戦いである。

打算的であれ、心の底からであれ、人の心を捉える能力、感情に上手く訴えかける能力がますます問われる。リーダーシップの条件のひとつだろう。小泉元総理もこの能力は長けていた。

比べると阿部首相は、ちょっと平凡ですね。。。小さくまとまった優等生すぎる印象です。支持率が下がり続けているようですが、開き直って、もっと本音で公正公平、正直に自分の心を見せてもらいたい。もっと自分を曝け出して弾けてもらいたいものです。あまり国民の立場に立ってものを考えていないように見える。

国民の立場になって、国民を擁護する、代弁する。政治家にこそ、アドボカシーマーケティング(顧客の擁護・代弁・支援のマーケティングパラダイム)を理解して、実践していただきたいものです。